Soap Bubble Wiki
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【はじめに】[]

このページには、Uroshi Pondが過去にSoap Bubble wikiに投稿した記録を日本語にしたものを掲載しています。投稿時の内容に適宜加筆しています。当時の実験記録などが含まれていますので、調合方法などは現在使っているものとは異なっていることがあります。 順次追記します。

投稿の本文はこちらを参照:User blog:Uroshi Pond

Soap Bubble wikiについてはこちらを参照:ようこそBubblingの世界へ(巨大シャボン玉、大量シャボン玉をやってみたいと思っている方のために)

【2021年2月:ポリアクリル酸ナトリウムとDawn Ultraの組み合わせ】[]

ポリアクリル酸ナトリウムDawn Ultra(ドーンウルトラ)の組み合わせについて実験しました。

The_combination_of_sodium_polyacrylate_and_Dawn_Ultra

The combination of sodium polyacrylate and Dawn Ultra

the combination of sodium polyacrylate and Dawn Ultra

気温15 ℃, 湿度88%, 降雨後の翌早朝。

使用したシャボン液のレシピは以下の通り。

・ 3.0g ポリアクリル酸ナトリウム

・ 6,500ml 水道水

・ 1.8g クエン酸

・ 240g Dawn Ultra(original scentと書かれているもの、Platinumではない)

見たところ、特に問題は無さそうです。しかし、キュキュットを使った場合に比べると糸引きが目立ちます。Dawnシリーズには粘度調整剤が含まれており、 キュキュットと同じ感覚でポリマーを足すと過剰添加になりがちです。配合の際はいくらかの分量調整が必要だと思います。


【2021年2月:複数ポリマーの混合(ポリアクリル酸ナトリウムとHECの組み合わせ)】[]

HECポリアクリル酸ナトリウムの複数ポリマーの混合を実験しました(当時はポリアクリル酸ナトリウムの特性を探っていた時期で、他のポリマーとの混合がどういう結果になるのか試すための簡単なテストでした)。

Multipolymer_Mix_HEC_and_Sodium_Polyacrylate

Multipolymer Mix HEC and Sodium Polyacrylate

気温 4.6 ℃, 湿度 82%, 早朝

使用したシャボン液のレシピは以下の通り (分量は厳密に考えて決めたわけではなく適当でした)。

・ 0.7g ポリアクリル酸ナトリウム

・ 5.3g HEC (Natrosol 250HHR)

・ 1,000ml 熱湯

・ 3,334ml 水道水

・ 8.0g 重曹

・ 1.3g クエン酸

・ 240g 旧版のキュキュット(マスカットの香り、37%)

熱湯1000mlをマグネチックスターラーで攪拌し、そこにHECとポリアクリル酸ナトリウムの混合粉末を少しずつ加えていきました(その後、重曹を加えました)。1時間ほどマグネチックスターラーで攪拌していると、ダマが現れました(明らかにポリアクリル酸ナトリウムのダマでした)。

これに水道水3,334ml、クエン酸、キュキュットを加え、一晩寝かせました。翌朝見てみると、ダマは消えていました。

川沿いの広場に行ってテストしてみました。シャボン液はよく機能し、1.5〜2.0mの球状の泡を簡単に作ることができました。ただそれ以上の大きさの球状の泡を作るのは難しかった。これは私が使っていたTristring wandsのサイズが小さかったせいかもしれません(シャボンチューブは5.0~6.0mぐらいまで伸びました)。

ポリアクリル酸ナトリウムはHECと混合しても問題ないようです。ただ、この2種類のポリマーを混合して使うメリットがあるかどうかはよく分かりませんでした。


【2021年3月:こんにゃく粉を使ったシャボン液について】[]

こんにゃく粉を使ったシャボン液をテストしました。

きっかけは、海外のバブラー達の間で、こんにゃくを使うと乾燥した低湿度環境に強いシャボン液ができるかもしれないと噂されていたことです。また我々日本人にとって身近な素材で入手しやすかったことも理由の一つでした。

シャボン材料としてのこんにゃく粉の使用に関しては、インドネシアのバブラーのFaris Nasirさんが2013年に最初に報告を行っています。 ただしその報告は非常にシンプルで、数行の英文でした。この報告以後、8年間ほどは誰からも言及はありませんでした。長いこと忘れ去られたポリマーだったのです。それで「誰も調べないのなら自分が試してみよう」と思いました。

・こんにゃく粉 3.3g

・熱湯 1,000ml

・重曹 5.4g

・旧版のキュキュット(マスカットの香り) 262g

・水道水 3,834ml

・クエン酸 1.2g

1. 沸騰させたお湯1,000mlにこんにゃく粉を少しずつ振り入れながら、泡だて器で手早く混ぜる。 (マグネチックスターラーを使用すると便利です。)

2. 重曹も同様に振り入れて混ぜる。

3. 3~4分放置して、1分間かき混ぜる。これを40分間繰り返す(マグネチックスターラーを使う場合は1時間撹拌を続ける)。

4. だいたい溶けたら、水道水3,834mlと混ぜる。

5. クエン酸を加える。

7. 一晩寝かせる。

(このレシピは当時使っていたもので、現在は少しアレンジしています。このページで確認してください)

翌朝の早朝にテストしました。気温4.2 ℃、湿度96%。

このシャボン液で、初めて自分の背丈を超えるぐらい高さの球形シャボン玉を作ることに成功しました。これほど大きなシャボン玉を実際に肉眼で見たのは初めてで、圧倒されました。

Test_for_Konjac_20210311

Test for Konjac 20210311

It may be not a big deal compared to the legendary bubble on the Internet though, It was my first time to see a bubble of this size.

2日後の日中、湿度は44%。乾燥した気候下での結果を見るため、再度このシャボン液を試してみました。全くダメでした(乾燥に対する強さというのは感じませんでした。しかし今にして思うと、シャボン液の保存状態が良くなかったことも影響したかもしれません)。

翌日、新しいこんにゃく溶液を調合して、重曹を省いてもうまくいくかどうか試すことにしました。上記のレシピから重曹を省き、その他の材料は変更しませんでした。結果、液のph値は5.15まで低下しましたが、とりあえず試してみることにしました。この日は、別途PEOで作ったシャボン液も持参しました(キュキュットを18:1で混合)。 同じ材料で同じ長さのワンドを2セット用意しました。

気温6.8℃、湿度88%、早朝。こんにゃくのシャボン液はPEOのシャボン液に比べ、明らかに機能性が低かった。それぞれのバブルチューブの長さがどの程度違うかを撮影して検証したところ、こんにゃく液のバブルチューブは平均して1~2m短かった。

1KN 調整前のKN

(例)ph調整前のこんにゃく溶液(ph5.15)

2KN PEO

(例)標準的なPEO solution

このこんにゃくのシャボン液に、重曹を5.4g添加しました(液をアルカリに傾け、ph値を上げました)。すると今度は、こんにゃくの液もPEOの液と同じように機能しました。どちらのシャボンチューブも目視では区別がつかないくらいでした。

3KN 調整後のKN

(例)重曹でph調整後のこんにゃく溶液

Test_for_Konjac_20210314

Test for Konjac 20210314

この日もこんにゃく溶液は高さ2メートル超のシャボン玉を作ることができました

この液でも、高さ2mを超える球状のシャボン玉を作ることができました。PEOでも同様のものができましたが、次第に泡を閉じることが難しくなってきたので(午前9時頃になり、直射日光が出て湿度が60%まで下がりました)、そこで実験を終えました。

数回の試験で結論を出すのは早計かもしれませんが、私の見る限りでは、

①よく調整されたこんにゃくのシャボン液は、PEOのシャボン液と同等に機能します。

②乾燥状態(低湿度環境)への耐性に関しては、こんにゃくのシャボン液に特筆すべき点はありませんでした。

(この投稿後もテストを繰り返しましたが、こんにゃく粉自体には非常に高いポテンシャルを感じました。その後何度も使用するうちに、私のお気に入りのポリマーになりました。)


【2021年4月:ゼラチンに関する調査】[]

2018年、ある日本人バブラーの方が、衝撃的なシャボン玉の映像をYoutube動画を公開しました。そのとてつもなく長いバブルチューブはカメラの画角(肉眼で約 40 メートル)を超えるほどで、これを見たバブラーたちに大きな衝撃を与えました。私もその一人です。

https://www.youtube.com/watch?v=S3SdeUdRfuQ

このバブラーさんは備考欄にレシピを掲載していましたが、使用していた食器用洗剤の成分は既に変わっており、このレシピを再現するのは不可能とのことでした。

私はこのビデオを何度も何度も見直し、何かを学び取ろうとしました。このバブルチューブの形状と質感は非常に特徴的で、どのシャボン玉の映像と比較しても「異形」としか言いようのない姿をしています。特に以下のビデオでは、その際立った特徴がはっきりと示されています。

https://www.youtube.com/watch?v=D8fnpZ6--CY

この異質さの正体が一体どういうものなのかを知りたくて、長いバブルチューブに効果的なゼラチン溶液を調べ始めました。溶液を作り、ゼラチンの性質を調べました。次のレシピで溶液を混ぜました:

・ゼラチン粉末 10g

・沸騰させたお湯 1,000g

・水道水 3,834g

・キュキュット(37%版)  533g

・クエン酸 0.1g

まずゼラチン液に洗剤を262g入れてみましたが、小さなワイヤーフープでもシャボン膜が出来にくかった。洗剤を追加して533グラムまで増やすと、フープで約1メートルの長いチューブを作ることができました。それでも、この溶液は失敗だと思いました。PEOやこんにゃくに見られる自己修復性(分裂しやすさ)は、この溶液ではまったく見られませんでした。

翌朝、私はTristring wandでこの溶液を試しました。残念ながら、YouTube で見た 40 メートルのバブルチューブにはほど遠い結果でした。

別の日、私は様々な濃度のゼラチン溶液を使っていくつかの実験を行いました。別の日にはゼラチンとDawn Ultraを使ってみました。別の日にはYoutubeの動画と全く同じレシピで作ってみました。しかし、良い結果は出ませんでした。

ただ、理解できた事もありました。

ゼラチン溶液は、あまり自己修復しない「硬い」泡を作ります。しかし、それは「硬くて脆い」というわけではなく、ある程度の風を受けても割れずに伸び続けたこともありました。(最長は約16~17メートルでした。)

そして、バブルチューブに大きなくびれがあったとしても、このチューブは簡単には分裂しませんでした(PEOやコンニャクを使った液だと、途中で複数の球状の泡に分裂し始めます)。 ゼラチンのバブルチューブは分裂せずに大きなくびれを保ちながら「一貫した」バブルチューブを形成しました(その結果、強い風を受けると、バブルチューブは特徴的なジグザグを描きます)。そして限界に達すると、分裂して球状のバブルを作ることはなく、頭から尾まで一斉に消滅しました。

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ゼラチン溶液の例

これがゼラチンの大きな特徴だと感じました。おそらく一般的なポリマーの最も重要な特性である「自己修復(分裂しやすさ)」の能力は弱いです。浮遊する球状バブル(またはガーランドワンドのバブル)を作成するときは致命的です。しかし、ロングチューブをできるだけ長く伸ばそうとするケースにおいては、この特性が有利に働くことは容易に想像できます。

結局私はこのバブルチューブを再現することはできませんでしたが、この「欠陥」と見なされがちなゼラチンの特性が、Youtube のビデオでは利点としてうまく機能していることが分かりました。今のところ私は、ゼラチンのこの特性こそが40メートルのバブルチューブを可能にしたのだと推測しています。 どうやら、ゼラチンは他のポリマーよりも「劣っている」のではなく、「異なる特性を持っている」と言った方が適切なようです。


あわわのおんつぁさん(@onza_bubbles)に感謝と敬意を表します。


※「自己修復」する膜は、圧力や強風が加わってバブルにくびれができて、やがてはそこから割れるところを、その自己修復能力によって、くびれ部分をチャックを閉めるように閉じ込んでいき、最終的に割れることなく2つのバブルへと綺麗に分裂させます。

※浮遊する球形バブルを作成することは不可能ではありませんが、他のポリマーよりも難しく、より慎重な操作が必要です。これまでのところ、長いバブルチューブを作ること以外にゼラチンを使用する利点は見つかりませんでした。


【2021年5月:フェヌグリークガムを使った巨大シャボン玉のテスト】[]

ネットでフェヌグリークガムが増粘剤として使用されているという記事を目にしました。

フェヌグリーク胚乳粉末は主にガラクトマンナンで構成されており、グアーガムやローカストビーンガムに比べて溶解性、分散性に優れていると言われています。(フェヌグリークガムのガラクトースとマンノースの比率は1:1ですが、グアーガムの比率は1:2、ローカストビーンガムの比率は1:4です。ガラクトースの比率が減少すると、水に溶けにくくなります。)

日本の企業 がフェヌグリークの種子から胚乳の部分だけを抽出し、粉末にして販売していました。

これを通販で入手し、シャボン液のポリマーとして試してみました。

以下のレシピで作ってみました。

・フェヌグリークガム 17.7g

・水 3,500ml

・洗剤(37%の旧版キュキュット) 220g

(混ぜ終わった時のpHは7.2~7.3だったのでph調整はしませんでした。)

グァーガムと同じように、イソプロピルアルコールでスラリーを作り、水に溶かしました。

翌朝早くに簡単なテストをしました。気温19℃、湿度84%。溶液はグアーガムに似ていますが、非常に粘性があります。

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カレースープのような色…

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20210529 fenugreek gum test

フェヌグリークのテスト


テスト結果を見る限り、ポリマー過剰だったようです。フェヌグリークガムの量を減らす調整が必要です。

大きなシャボン玉はいずれも短命でしたが、巨大シャボン玉を作る可能性を感じさせる出来です。高さ約1メートルのシャボン玉が簡単に作れます。

※注意事項:フェヌグリークシードはスパイスの一種で、インドカレーの材料です。スパイシーな香りが強烈です(メーカーの商品説明ではほとんど臭わないと書いてありますが、私はそうは思いません)。

室内で調合する場合は、部屋がスパイスショップのような香りになることを覚悟しないといけません。洗剤を混ぜると少し緩和されますが、シャボン液もシャボン玉自体もスパイシーな匂いが多少残っています。子供や他の人がいる場所でこのソリューションを試すことはお勧めしません。

匂いの欠点はありますが、もう一度試してみたいと思うには十分な出来でした。調査を続けたいと思います。


【2021年6月追記】キュキュットの代わりにDawn Ultraを使ったら、ニオイがかなり減り、ほとんど気にならなくなりました。


【2021年6月:フェヌグリークガムを使った巨大シャボン玉のテストⅡ】[]

フェヌグリークガムのシャボン液を再度試しました。

前回は おそらくポリマー過多でした。今回はフェヌグリークガムと洗剤の量を調整しました。

フェヌグリークガム 12.5g

・ 水 3,500ml

・ 洗剤(37%の旧版キュキュット) 190g

ph値は7.3だったので調整しませんでした。

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fenugreek bubble test

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20210601 fenugreek gum test 2

fenugreek bubble test


気温18.0℃/湿度94%。

前回よりも大きなシャボン玉を安定して作ることができました。 フェヌグリークガムをもう少し減らしても良いかもしれません。

スパイシーな香りの問題については、前回よりは軽減されましたが、それでもまだ香ります。

この液のシャボン玉が洋服や髪にあたることは避けた方がよいでしょう。

まだまだ使えそうな未知の天然ポリマーがありそうです。本当にシャボン玉の世界は奥が深いです。


【2021年6月追記】キュキュットの代わりにDawn Ultraを使ったら、ニオイがかなり減り、ほとんど気にならなくなりました。


【2021年7月:シャボン液の材料として試したマイナーポリマーたち】[]

シャボン玉自体も楽しいものですが、私はそれができるまでの過程にも興味があります。 まったく違う材料・成分・調合方法なのに、同じように美しく大きなシャボン玉を作ることができるというのは、不思議で興味深いことです。 これまで、マイナーな素材をいくつか試してきました。うまくいったものも、そうでないものもあります。

【使える!】

・こんにゃく:excellent!

・タラガム:excellent!

・フェヌグリークガム:excellent!(ただし匂いが気になる)

【不明…】

・ポリグルタミン酸:納豆のネバネバ成分。1mくらいの気泡は作れますが、膜がもろくなってしまいました。量を調整すれば有効かもしれませんが、高価(10gで2000円以上)なのでコストパフォーマンスが悪いです。

【使えない!】

・アルギン酸ナトリウム(marugo):おそらく低分子量の食添グレード。効力なし。

・カルボマー:効力なし。

・アカシア食物繊維:サラッサラのアラビアガム。効力なし。

・ポリビニルピロリドンk30:効力なし。甘い匂いがする。

・入れ歯安定剤「新ファストン」:成分は天然カラヤガムと粉末アルコール。少しだけ粘度が出るがほぼ効力なし。純粋なカラヤガム粉末ならいけるのだろうか?

【論外!】

・サレップパウダー:根の粉末。こんにゃくと同じグルコマンナン成分を期待したが、届いたのは精製が不十分と思われる単純な粉末。不純物が多く、液の底に沈殿してしまう。全く使い物にならない。

・どんぐり粉:溶けやしない。

・キトサン:洗剤入り水道水に混ぜ込んだ途端、かなりしっかりしたゴムボール的な何かに変形。何かの内臓みたい。これはこれで面白い。

・カタツムリ粘膜パウダー:効力なし。汗まみれおじさんの体臭あるいは生乾きの雑巾の匂い。二度とやらない。

言うまでもなく、これらは私の経験です。より良い環境や調合法があれば、役に立つものもあるかもしれません。 なかでも、こんにゃくを使った調合法に出会えたことは幸運だったと感じています。


バブルの実験はうまくいかないことの方が多いですが、どれも面白い経験でした。

Giant_Bubble_by_konjac_powder

Giant Bubble by konjac powder

こんにゃくを使ったシャボン液のテスト


【2021年8月:タラガムを使った巨大シャボン玉のテスト】[]

以前の投稿(Quick test with fenugreek gum (2))で、匿名のバブラーさんがコメント欄でタラガムについて言及していました。

フェヌグリークガムと同じ効果があるかどうか試してみようと思い、通販でタラガムを手に入れ、以下のレシピで溶液を作りました。

・ぬるま湯 3,800 ml (40℃で十分です)

・タラガム 12.3 g

・食器用洗剤(旧キュキュット) 207 g

・重曹 2.5 g

・クエン酸 0.1 g

タラガムはアルコールでスラリーを作って混合しました。phは7.5に調整しました。

朝7:00、気温24℃、湿度88%、風速2~3m/s。

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タラガムのテスト

Taragum_Trial

Taragum Trial

タラガムのテスト

残念ながら風は不安定で理想的な状態ではなかったのですが、溶液自体は上手く機能するようです。

もう少しタラガムの分量を減らしてもいいかもしれません。今後、好条件下でどうなるかを確認したいと思っています。

(追記)

その後タラガムを何度も試しました。現在、以下のレシピで作った液は、ガーランドワンドを使うときの私のお気に入りになっています。

・水 6,500 ml

・タラガム 小さじすり切り4杯

・食器用洗剤(旧キュキュット) 340ml

※混合後、一晩寝かせる。

Triple_Garland_with_Tara_Gum_Solution_(for_garland_soap_bubbles)

Triple Garland with Tara Gum Solution (for garland soap bubbles)

タラガムソリューションを使ったガーランドワンド

ただ、タラガムは昨年頃から価格の急騰が続いており、2021年初めにはkgあたり5,000円前後だったのが、2022年末現在で20,000円前後まで上がっています。しばらくは価格の落ち着きは望めそうにありません。


【2021年9月:人をシャボン玉に入れる道具について:自作KIBモート】[]

シャボン膜を使ったパフォーマンスの一つに、KIB(キッドインアバブル)というのがあります。人が一人入れるような大きな輪っか(フープ)と、そのフープ全体をシャボン液に漬け込むことができる大きな円形の液槽(モート)を使って、下から上へ輪っかを持ち上げるようにして人をシャボン膜の中に入れる、というパフォーマンスです。

私はパフォーマーではないのですが、ちょっとした催しに参加する機会があったので、KIBをやってみようと思い道具を探し始めました。しかしなかなか見つかりませんでした。

フープは針金でどうにか作れますが、モートは作成が難しいです。wikiでDIYの方法も見ましたが、私にとってはかなり難しいものでした。既製品も探して、設置が簡単でしっかりした作りの物を探していたのですが、日本では適合する業者が見つかりませんでした。そもそも日本にはプロのパフォーマーが少ないので、こういった特殊な道具を販売している業者がほとんど存在しません。海外で探すと何件か見つかりましたが、ヨーロッパから輸入すると送料だけで大変な金額になると知り、途方に暮れていました。

そんなある日、海外のバブラーの方で、プラスチックガーデンテーブル(パティオテーブル)を使ってモートを作る人がいるという話を聞きました。

さっそく近くのホームセンターに探しに行くと、いけそうな商品がありました。入手したのはポリプロピレン製のテーブルです。イタリア製で、2021年の時点で値段は5~6,000円ほどでした。天板の直径は約91cmです。Amazonでも同じものが見つかりました。

https://www.amazon.co.jp/dp/B077QBV8N2/  (メーカーが仕様を変更する可能性があるのでご留意ください。なるべく実物を見て購入されることをお勧めします)

そのまま裏返して使うこともできますが、デコボコがあって立ちにくいので、テーブルの天板に切り込みを入れ、そこに細いノコギリを差し込み、中央部分を切り抜きました。(塩ビパイプ用のノコギリを使うと上手く切れました)。亜鉛メッキ鋼線で簡易のフープを作り、試してみました。

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割と簡単に切り抜けます

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一般的なグアーガム溶液を使いました

DIY_Bubble_Tool_-_Making_a_KIB_moat_using_a_polypropylene_table

DIY Bubble Tool - Making a KIB moat using a polypropylene table

作成の動画です。

上手く機能しました!

メリットは、海外輸入に比べたら格段に安いことです。手間は、天板の真ん中を切り抜くことくらいです(切り抜くのが難しければ、適当な踏み台を探して天板の真ん中に置けば大丈夫でしょう)。設置も洗浄も簡単で便利です。

デメリットは、モートにちょうど合う細身のフープを作らなければならないこと、またモートの幅が狭く容量が小さいので溶液を頻繁に補充する必要があること、何回か実演するとモートが泡沫でいっぱいになるので、こまめに泡沫を取り除く必要があることです。大きさがあってかさ張るので、運搬や保管の際には考慮が必要です。

実際に人前で何度か使いましたが、とてもうまく機能しました。屋内のイベントを頻繁にされる方でしたら、試す価値ありだと思います。

※この記事の投稿後、インスタグラムを通じて、この方法を使ってKIBキットを作成し販売して良いか尋ねてきたBubblerさんがいましたが、私は関与しないので自由にして下さいと伝えてありますので、この方は無断頒布しているわけではありません。他の方でも特に構いませんが、頒布する際には譲渡先の方にあらかじめSoap Bubble Wikiに作成方法の記載があることをお伝えいただけると幸いです。

【2022年1月:キュキュットを使った縮尺版"Jumbo Juice"】[]

Jumbo Juice/ジャンボジュース」は、オレゴンの有名なBubblerであるDustin Skye氏が発表したバブル液のレシピです。このレシピにキュキュットを応用したのが以下の分量です。この分量だと、非常に分裂しやすい(たくさんの小さいシャボン玉ができやすい)シャボン玉になります。好条件下では、浮遊しているシャボン玉に息を吹き込んだときに、トリプルバブル(同心円状に3重の層を形作るシャボン玉)が非常に高い確率でできることが特徴です。巨大シャボン玉を作る場合は、下記の分量からポリマー(PEO、HPMC)を少し減らすと良いでしょう。

・PEO (WSR301)  0.40g (J-Lubeで代用するときは1.60g)

・HPMC 1.02g 

・Water 7,000ml

・キュキュット(旧版の37%のもの) 380g (現行の32%のものを使う場合は460g前後で調整してください)

・グリセリン 30g  (PEOとHPMCを混合してスラリーにするときに使います)

・クエン酸 0.2g

・重曹 指先一つまみ程度

Small-scale_jumbo_juice_(with_Cucute)_-_soapbubbles

Small-scale jumbo juice (with Cucute) - soapbubbles

この液で作ったシャボン玉に息を吹き込むと、膜が複雑な形状変化を伴いながら内側に向かって分裂していく様子が見られます。液自体はやや曳糸の強いものになりますが、1メートル程度の巨大シャボン玉もできます。もっと大きくする場合はポリマーを7-8割程度に減らして様子をみてください。

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空中を漂うトリプルバブル。最も中央の小さいシャボン玉は楕円軌道を描きながら回転し続けています。


【2022年2月:異常の発生(とその原因)】[]

最初に異変に気付いたのは2022年1月中旬頃でした。

いつものようにタラガムを使ったシャボン液を作っていたところ、食器用洗剤(キュキュット/マスカットの香り)を入れた途端、液が一瞬にして真っ白に濁りました。まるで牛乳のように白くなり、使っていた泡だて器の先端部分が見えなくなるほどでした。

何かおかしいな、と思いましたが、とりあえず出来た液を試してみました。すると明らかに、シャボン玉は水気が多く、底面部分からボタボタとしずくが滴り落ちていました。シャボン玉はワンドを離れると、重力に逆らうことができず、浮遊せずにまっすぐ地面へと落ちました(当日は雨の降る湿度の高い夜だったことも影響したかもしれません)。

異常の原因(曇りと性能の低下)を探りました。当時、タラガムをグリセリンでスラリー化する実験をしていたので、グリセリンの関与(またはタラガムとグリセリンの相互作用)を疑いました。しかしその直後にグリセリンを除いて同じ実験を行った結果、グリセリンは犯人でないことが分かりました。

普段は庭の蛇口からシャボン液に使う水を汲んでいたので、温度も関係あるのではないかと想像していました(ここ数日、夜の気温は5℃以下まで下がっていました)。そこで、ぬるま湯を使ってみましたが、結果は変わりませんでした。

その後、昨年購入して使っていなかった古いキュキュット(「RelaxDays Verbena & Citrus」、香りが違うだけで同じ成分の製品)を使ってみました。すると曇りませんでした!

新しいキュキュットのボトル裏面の説明欄を何気なく見てみると、界面活性剤比率が変更(37%→32%)されており、成分も変更されていました。界面活性剤のうちジアルキルスルホコハク酸ナトリウムが記載されておらず、代わりにアルキルヒドロキシスルホベタインに置き換えられていました。

背筋が凍りました...。

すぐに花王のホームページをチェックしたところ、2022年2月に食器用洗剤が全面リニューアルされるというアナウンスを見つけました。

この新しい キュキュットを、前のレシピどおりの分量で使用した場合、シャボン液のパフォーマンスは大幅に低下しているようです。

新しいキュキュットの分量を徐々に増やして試したところ、水と洗剤の比率を約 16:1ぐらいにすると効果的であることがわかりました。(私は通常 18.5:1 を好みます。)

調整すれば悪くはないと思います。ただシャボン膜のテクスチャーはだいぶ違うように見えます...かなり水っぽく重たい感触です。

まだ簡単なテストしか行っていないので、他のワンド (大きな三角紐ワンド、ガーランドなど)を使って比較して、どの程度の変化が生じているかを確認する必要があります。

(シャボン玉を趣味とする人にとって、食器用洗剤の成分改定は致命的な出来事です。場合によっては、それまでできていたすべての事がこれから先全くできなくなることを意味します。)

Old cucute

Old cucute label.

New cucute

New cucute label.I hadn't noticed that the package label had changed at all.

【2022年12月:食器用洗剤とキュキュット改定について】[]

食器用洗剤についてあれこれ思案しているところですが… 日本のシャボン玉界隈で流布されている有名なお話の一つに、「シャボン玉を作るための食器用洗剤を選ぶときは、裏面に書いてある界面活性剤の含有率が40%以上のものが望ましい」というのがありました。今ではもう40%以上の洗剤は三大メジャー(花王、ライオン、P&G)ではほとんど無くなっていますが、そのあとも「30%以上が…」と言い換えられたりして、この「秘訣」のようなものが受け継がれているようです。

しかし、業者向け濃縮洗剤や海外の洗剤などいろいろ試してみると、パーセンテージと実際の効果にほとんど関連が無いことが分かります。昔からある70%前後の洗剤も試しましたが、どんなに調整を重ねても三大メジャーとは比べ物になりません。逆に20%以下の現行製品(いわゆるコンパクト洗剤ではない)でも、メートルクラスの大玉が十分できる洗剤もあります。もちろんシャボン液を効果的にするための界面活性剤量の最低ラインみたいなものはありますが、実験を繰り返すにつれ、「40%」伝承の信ぴょう性は怪しくなってきます。 今となってみると、たぶん「界面活性剤の含有率が高い洗剤の方が良いシャボン玉ができる」などという事実は最初から存在しなかったのだろうと思います。

想像するに、たまたまシャボン玉に効果的な成分構成だった市販洗剤がチャーミーやママやファミリーやキュキュットだったのであって、たまたまそれらの含有率表示が40%前後もしくはそれ以上だった、それがある種の誤解を生んだのではないだろうか、ということです。ネットショッピングが無かった時代は、より高濃度の業者向け洗剤や海外の洗剤の入手は簡単ではなかったでしょうし、そういったものの検証もほとんど行われていなかったはずです。 私個人としては、洗剤のシャボン材としての性能を左右するのは界面活性剤含有率のパーセンテージではなく、使用している界面活性剤の種類とそれぞれの混合比率(何種類の、どの種類の界面活性剤を、それぞれどの割合で洗剤に配合しているのか)だとほぼ確信しています。そして新キュキュット問題については、それを踏まえておかないと事の本質を捉えられないだろうと思います。

Cucute202212

冷水に溶かしたもの(左)と熱湯に溶かしたもの(右)

画像は、両方とも同じ(新)キュキュットを溶かしたもの(ポリマー無し)です。冷水に溶かしたもの(左/白濁)と、沸騰させたお湯に溶かしたもの(右/透明)を並べると分かるように、様子が全く違います(手元に新キュキュットがある方は試してみてください)。

キュキュットが新しくなって変わった点の一つに、界面活性剤ごとの混合比率の変更があります。具体的には、(旧)キュキュットで一番多く使われていた「AES」が(新)では2番目の量に減らされ、(旧)では3番手以下だった「アルキルヒドロキシスルホベタイン」が(新)ではいちばん多く配合されている主力の界面活性剤になっています。

(新)の様々な特性は主にコイツ(アルキルヒドロキシスルホベタイン)由来なのでは?と疑っていたところでしたが、先日ネットでベタインポリマー(スルホベタイン)の温度応答性についての記事を見つけ、ひょっとしたらと思って熱湯で溶かしたところ、案の定きれいな透明液になりました。これを冷ましていくと、30℃ぐらいから少しずつ白くなり始め、20℃になると全体が白濁します(ただし冷水液よりは薄い)。再び加熱するとまたきれいな透明になります(可逆性がある)。ph調整による変化はありませんでした。今のところ白濁の原因としては、この成分以外に思いつきません(クエン酸塩の関与も考えられなくはないですが温度応答的な可逆変化の説明がつきません)。 透明液と白濁液をストローで吹いて試しましたが、シャボン玉に目立った違いはありませんでした。白濁そのものが性能に影響しているわけではなさそうです。 とはいえ (新)でのみ、これほどはっきりした温度依存性の反応が見られることを考えると、スルホベタインを主成分にしたこと(逆に言えばAESを二番手に引き下げたこと)がキュキュットにどれほど大きな変化を与えているかを伺い知ることができます。

もう一点、アルキルヒドロキシスルホベタインは両性界面活性剤です。一般的に、永らく食器用洗剤の主軸はアニオン性界面活性剤であり、両性界面活性剤はあくまでも増強剤・補助剤というポジションですが、(新)ではこれを最も多く配合しています。マジカも同じく両性界面活性剤(アルキルアミンオキシド)を最も多く配合しています。従来の洗剤と比べるとだいぶトリッキーな配合で、興味深いところです。世界中の食器用洗剤を見ても日本だけ(というかほぼライオンと花王だけ)だと思います。洗浄力以外の付加価値(肌への低刺激性や泡切れ性・速乾性など)にかなりの重点を置いていることが分かります。

ただしスルホベタイン自体が悪者だとは思いません。界面活性剤はわずかな混合比率の違いで甚大な差が生じるのだそうです。洗剤の混合比率は良くも悪くもシャボン液の性能を左右します。これまでのキュキュットにもスルホベタインは(少量ですが)含まれていたので、材料そのものが原因というより、混合比率の大幅な変更が原因だと考える方が自然だと思います。新キュキュットについては、phを傾けたり塩を添加したり他の洗剤と混合したりを試していますが、これはというような結果は出ていません。むしろいじればいじるほどバランスが崩れていく気がします。やはり一流のメーカーは、絶妙の配合バランスを考えぬいた上でこの製品を世に送り出しているのだと実感します。

というか「(新)、言うほど悪くなくね?」という気もしています。基本、大きさの追及が難しく、湿度があると玉の沈み込みが強すぎるシャボン液になりますが、晴れていてガーランドで良い風があるときはさほど欠点を感じないので、そういう日を選んでガーランドで使えばいい話では?みたいなことですが…まあ使えるかどうかは場面や目的によるのでしょうね…。


【2023年7月:所感(これからのために)】[]

幼い子どもがシャボン玉遊びをするとき、最初の何度かは思うように吹くことができない。すぐに膜が割れるか、数が出ない。だが何度か繰り返すうちに「上手くいかない感じ」を感じ取って、少しずつ、意識的にせよ無意識的にせよ修正を重ねるうちに、上手になっていく。

それは息遣いの力加減だったり、空気を送り込む吹き具の角度だったりするのだが、これはつまり、シャボン玉遊びにおいては「空気の使い方」がとても重要だということだ。 上手くシャボン玉を吹こうと思ったら、勢いの強弱だけではなく、もっと繊細な呼気の操作、すなわち最も適した唇や舌の姿勢を探り、気流に乱れが起こらないよう吹き具の角度を整え、自分の肺活量と相談しながら、強すぎもせず、弱すぎもせず、なるべく渦が起こらない層流の空気の流れを持続させる必要がある。子どもたちがシャボン玉を吹いているとき、彼ら/彼女らは私たちの想像以上に繊細なエアフローの管理を行っている。 良い風の条件は、強弱(=風速)だけではない。良いシャボン玉には、風の「質」の良さが必要なのだ。液の混合方法にばかり気を取られ、手持ちのワンドばかりを使っていると、そのことを忘れそうになる。子どもはいつでも大切な秘密を知っている。

いわずもがな、口で吹くシャボン玉遊びと、屋外で二本のワンドを使うBubblingとでは、風の発生源が違う。特にひもを使うワンドでバブルを作る場合は、呼気ではなく、自然の風の力を利用する。従ってBubblingの場合、風の「質」の良し悪しは自然任せ、自力ではどうしようもないということになる。自然の環境が為すエアフローは、決して私たちの意図を汲み取ってはくれない。

誤解を恐れないのなら、あのポリマーがどうだのこの洗剤がどうだのという問題は、エアフローの問題の二の次と言ってもいい。風速6~7m/sのうねりの効いた風が吹き荒れたらポリアクリル酸ナトリウムもPEOもグアーガムも何の役にも立たないのだから。混合法をめぐる多くの誤解もそこから生まれる。あの材料を何グラム足せばもっと良くなった気がするというような事の大半は、実際に並列検証してみると「そんな気がしただけだった」「良くなったと思ったが気候の違いのせいだった」といった結果に辿り着くことの方が圧倒的に多い。私たちは、その日その時の風の「質」が与える重大な影響を、実相よりもかなり軽視する傾向にある。

いずれにせよ、屋外でのBubblingという行為の半分以上は、人間の手の域の「外側」の方に、すなわち私たちの意図と無関係な物理環境の方に、依存しているということだ。

現代美術のジャンルの一つに「環境芸術」というのがあるが、私はBubblingにはある種の環境芸術としての側面があると思っている。 環境芸術の発見は、人の手と、その外部の環境との「交感」の中にこそ、現代の美が存在するということだった。私たちの行為は一見すると、逃げ去るもの(風)を追いかける動作のように見える。虫取り網を手にした子どものように。しかし実際のところそれは「抱擁」の感覚に近い。意思が無いはずの風のきまぐれを、驚きと歓喜とをもって、1000分の1ミリ未満の薄い薄いヴェールで包み込むかのような仕草だ。 両手のワンドの先の紐の、繊維の先端の先端にまで融け延びた指先の神経が、ささやかな空気の重みを感じ取るや否や、自らの意図とは全く異なる何者かの力によって、虹色の膜の拡がりへと同化し霧散していく感覚に陥る瞬間、それは、正しく風との「交感」に他ならない。私たちは、人の手の「内」と「外」がこれ以上ないほど曖昧になる瞬間(せっかくだから「界面」と言ってもいい)に立ち現れる謎めいた美しさに憑かれている。風を、泡を、使っているのではない。風の「ために」、七色に輝くものたちの「ために」、それらが生成し、変化し、生まれ、死ぬ、その舞台装置の一部へと自らが同化していくその瞬間の「ために」、私たちはワンドを掲げているのだろう。

言い換えるなら…使われているのは私たちの方なのだ、私たち自身の「内なる外部」によって。ヒトという生き物の神経系の基底に潜在する、無意識的で生理的で衝動的な欲求によって。愛でるべきもの、驚くべきもの、何度でも味わっていたいものを、飽くことなく欲してやまない本能的な欲求によって。私たちは皆、「あの美しいものを何度でも見たい」という反復欲求に駆動されるドゥルーズの蜜蜂なのだ。

なるだけ多くの人をこの感覚に陥れたいと思っている。他の何れとも異なる、語りえぬこの感覚が、多くの人々に共有されることを心から期待している。


*This page is a translation of my blog post into Japanese for Japanese beginner babblers who have difficulty reading English.


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