【はじめに】[]
私は趣味としてシャボン玉をやっている日本人です。プロのパフォーマー等ではなく、アマチュアの愛好家です(普段はシャボン玉とは全く関係のないサラリーマンです)。私はこのウェブサイトのスタッフではありません。ユーザーの一人です。
シャボン玉といってもストロー状の吹き具で吹くあのシャボン玉遊びではなく、直径1~2メートルの巨大シャボン玉を作ったり、一度に視界を埋め尽くすような大量のシャボン玉を飛ばすというような、ある種の余暇活動、アクティビティです(海外ではこういった活動はBubbling/バブリングと呼ばれていますので、区別のため便宜的にここでも「バブリング」と記載します)。
軽い気持ちで情報を集めているうちに、このウェブサイト(Soap Bubble Wiki/ソープバブルウィキ)にたどりつきました。そしてシャボン玉の深淵を知ることになりました。
野外でバブリングをやっていると、道具や液の作り方を聞かれたり、コツやテクニックを聞かれたりすることがあります。それらに答えた後に、その都度このウェブサイトを紹介していましたが、やはり日本人にとって全部英語で書かれているというのは相当高いハードルのようでした。
そこで、これからバブリングをやってみたいと思っている日本の方のために、このウェブサイトについての簡単な解説を作成することにしました。
※てっとり早くシャボン液の作り方を知りたい方はこちらをどうぞ → ①グアーガムを使ったシャボン液 ②ポリアクリル酸ナトリウムを使ったシャボン液
※各種材料について知りたい方はこちらをどうぞ → Bubblingの基礎知識Ⅰ/シャボン液の構成要素
【Soap Bubble Wikiについて】[]
このウェブサイトは、「Soap Bubble Wiki」(ソープバブルウィキ)と呼ばれるサイトです。
世界中のシャボン玉愛好家たち(海外では単に「Bubbler/バブラー」と呼ばれます)によって発見された、シャボン玉に関する知識や経験を集積するサイトであり、多くの貴重なデータがアーカイヴ化されています。
人一人が丸ごと入るような巨大なシャボン玉を作ったり、無数のシャボン玉を一瞬で大量発生させる方法、プロのステージパフォーマンスで使われるようなバブルアートの技術、および化学的な側面から見たシャボン玉の現象の解説などが、誰でも閲覧できる形で公開されています。(また、誰でも記事を投稿できます。)
全て英語ですが、パソコンのブラウザの翻訳機能を使えば、日本人でも十分に読み取ることができる内容です。
これらのシャボン玉に関する驚くべき知識や技術は、プロのパフォーマーが多く活躍するアメリカおよびヨーロッパ諸国で発達しました。1980年代に紐を使ったシャボン玉玩具が発明されると、シャボン玉を使ったより多様な遊び方が、プロのバブラーやアマチュアの愛好家たちの間で模索され始めました。とりわけ、アメリカ西海岸のカリフォルニア周辺のバブラーたちを中心に詳細な研究が進められ、シャボン玉に有効な様々な洗剤やポリマーの探査、バブルギアについての研究、膜厚と色の関連性、Ph値が液の性能に及ぼす影響など、数々の重要な成果がもたらされました。
特筆すべきことは、近年彼らの多くが、シャボン液の独自の配合方法や発見した材料、テクニック、機材、および実験結果や記録について、非常にオープンに公開し、互いに交流し、活発に議論していることです。こうした「オープンソースの理念」は、欧米のバブリング文化の大きな特徴です。手品(マジック)の知識や技術が師弟関係間での伝承や販売といった手段によって発達し伝えられていくのとは対照的に、現代の(特に2000年代以後の)シャボン玉の知識や技術は、公開し議論するという手段によって発達を遂げながら、世界中に広まっています。彼らは「バブリングにおいては共有こそがイノベーションの原点である」という強い信念を有しています。私もまた、そのようなオープンソースの理念に共感するBubblerの一人です。
このSoap Bubble Wikiは、云わばシャボン玉全般に関するオープンソースプロジェクトのプラットフォームです。私自身が発見したことや行った実験記録のうち重要と思われるものは全て、このWikiに投稿され、誰でも閲覧できる形で公開されています。
“私たちは、このウィキが、完璧なバブルを作るためのオープンソースプロジェクトのようなものになることを望んでいます。目標は、バブラーのための”事実”に基づいたリソースを作成することです。ウェブを検索すると、レシピや材料について矛盾した情報が目につきます。このWikiは、事実と俗説を分別する手助けをすることを目的としています。” (トップページより)
【グアーガムについて】[]
このサイトの設立者であるエドワード・シュピーゲル(Edward Spiegel)のグループは、グアーガムを使ったシャボン液の作成方法(「レシピ」と呼ばれます)を発見したことで有名で、現在世界中の多くの愛好家やプロのパフォーマーがこのレシピを愛用しています。
グアーガムは日本の店頭で見かけることはほとんどありませんが、Amazon.co.jpなどの通販サイトで簡単に手に入れることができます。
彼らが発見した「Guar gum-based bubble juice」(グアーガムベース・バブルジュース)の作り方はこちらから閲覧できます。
https://soapbubble.fandom.com/wiki/Recipes_Guar
【簡単なグアーガムレシピ(for Japanese)】
以下に、私が使用しているグアーガムのレシピの一例を紹介します。(2022年5月頃に、wikiのデータを基に日本の洗剤に適合するように私が調整したグアーガムのレシピです。)
①必要なもの
・グアーガム …どれでも使えますが、Amazonで入手できるものにマルゴコーポレーションの製品があります。2022年5月現在、300g入りで1,600円程度です。
・食器用洗剤 …使えるものと使えないものがあります。お勧めするのは花王のキュキュット(マスカット/オレンジ/グレープフルーツの香り)、もしくはライオンのチャーミーマジカ(除菌+/酵素+)です。他の食器用洗剤でもできるものがありますが、まずはこれらで試してみてください。
・アルコール(液体) …「局方アルコール」と呼ばれるような液体のもの(消毒用アルコール、または無水アルコール)を選んでください。ドラッグストアなどにあります。アルコールジェルやキッチン用アルコールスプレーの詰め替え液は使わないでください(添加物が影響を及ぼす可能性があります)。グリセリンでも代用できます。Amazonでは無水アルコールを入手できます。個人的には無水アルコールもしくは99%イソプロピルアルコールがお勧めです。
・計量カップ …500mlサイズのもの。100均にあります。
・計量スプーン …小さじを使います。100均にあります。
・泡だて器 …100均にあります。
・小さいカップ …100cc程度の小さいカップ(ひだや溝のない混ぜやすい普通のカップ)ならなんでも良いです(例えばダイソーの「シリコーン計量カップ100ml」は便利です)。
・箸 …1本で結構です(割り箸でも良いですが、できればプラスチック素材の箸をお勧めします)。
・バケツ …8~10リットルサイズのバケツを用意してください。しっかり閉められる蓋がついたバケツがホームセンターなどで売られていますのでお勧めです(塗装作業用、また釣り用として売られています)。運搬時にこぼれることがなく、保管もできるのでとても便利です。
・水 …水道水で十分です。
②レシピ
簡単に言うと、グアーガムをアルコールに溶かす→それをバケツの水に加える→食器用洗剤を加える、で完成です。以下は詳細です。
1. 水道水6.5リットル(6,500ml)をバケツに汲んでおきます。
2. 空の小さいカップに、グアーガム粉末を入れます。暖かい時期は小さじですり切り4杯程度、寒い時期は小さじで3.5杯程度を目安にしてください。
3. グアーガムを入れたカップに、粉末が覆われる程度のアルコールを注ぎます(過度に入れ過ぎると性能が低下する恐れがありますので気をつけてください)。
4. グアーガムとアルコールがよく混ざるように、箸でかき混ぜます。カップの底や側面にザラザラが残らなくなるまでよく混ぜてください(得られた混合液を「スラリー」と呼びます)。スラリーがドロドロザラザラの状態になった場合は、サラサラの液体になるまでアルコールを少量追加してください。
5. バケツの水道水を泡だて器でかき回しながら、スラリーを注ぎ入れます。カップの底にグアーガムが少し残るので、バケツの水を少し汲む→戻し入れる、を何回かやってすべて溶かし入れてください。
6. バケツに食器用洗剤を加えます。キュキュット(マスカット/オレンジ/グレープフルーツの香り)なら400ml、チャーミーマジカ(除菌+または酵素+)なら420mlを加え、泡だて器でやさしくかき混ぜてください(あまり激しく混ぜると泡が大量に発生してしまいます)。
7. 完成です。
グアーガムのシャボン液は使う前に数時間~半日ほど寝かせたほうが良いようです(私の場合は前の日の夜に作っておいて、次の日使います)。
※グアーガムは、粉末をそのまま水に入れると、必ずダマになります。一度できたダマはどうやっても溶けず、液の性能に影響が出ます。しかし、グアーガムを一度アルコールと混ぜてから水に入れると、ダマはできません(アルコールの代わりに同量のグリセリンでも代用できます)。
※このレシピで一般的なバケツ1杯分のシャボン液ができます。仕上がりとしては、分裂しやすい(=大量の小玉を出しやすい)液ができますが、直径1m程度の球体も十分に作ることができます。超大型を目指すのであれば、グアーガムの量を減らすなど、調整してみてください。
【ポリアクリル酸ナトリウムについて】[]
日本の方が大きいシャボン玉についてインターネットで検索をするとき、必ず目にするのが「ポリアクリル酸ナトリウム」という添加物だと思います。ポリアクリル酸ナトリウムについては、1976年出版の『シャボン玉の夢』(杉山兄弟著/東京図書)の中で市販液の成分の一つとして既に言及されていましたが、2014年頃に日本のシャボン玉愛好家によってその効能が再発見され、それ以後日本人のバブラーの間では最もスタンダードな材料となりました。
日本では、多くのプロのシャボン玉パフォーマーに愛用されています。しかしながらその配合方法は人によってかなり違うようです。洗濯のりやヒアルロン酸入りの化粧水を混ぜたりするバブラーもいます。
ここでは、私が使用しているポリアクリル酸ナトリウムのシンプルなレシピの一例を紹介します。
①必要なもの
・ポリアクリル酸ナトリウム …Amazonで入手できるマルゴコーポレーションの製品が一般的です。2022年5月現在、100g入りで1,100円程度です。他の製品でも大丈夫ですが、必ず水溶性のもの(食品添加物またはローションの材料として販売されているもの)を使ってください。高吸水素材や手品の道具として販売されているものは水に溶けないので使えません。
・キッチンスケール …必ず最小計量単位が0.1gのものを選んでください。最小1gでは正確にレシピを再現できません。Amazonで2、000~3,000円で販売されています。
・水 …普通の水道水でも結構ですが、ぬるめのお湯(38~40℃程度)を使うと良く溶けます。私はお風呂場の蛇口から出した給湯をそのまま使っています。
・他の道具類はグアーガムのレシピと同じです。
②レシピ
1. 水道水(またはお湯)6.5リットル(6,500ml)をバケツに汲んでおきます。
2. ポリアクリル酸ナトリウムを測ります。暖かい時期は4.0~4.2g程度、寒い時期は3.5g前後を目安にしてください。ポリアクリル酸ナトリウムはほんのちょっとの湿り気でも凝固し始めますので水気が付かないよう注意してください。
3. バケツの水を泡だて器で回しながら、ポリアクリル酸ナトリウムを少しずつサラサラと振り入れます。ちょっと高めの位置から水面に振りかけるようにして混ぜ込みます。ドバっと入れるとあっという間に大量のダマができ、まったく溶けません。2~3分かけて、本当に少しずつ少しずつ振り入れ続けます。
4. 入れ終わりの時点では多少ダマがあってもOKです。そのまま30分程度放置します。
5. 放置後、ダマがすべて消えていることを確認します。多少残っていても大丈夫です(気になる場合はストレーナーなどを使って濾しても構いません)。
6. バケツに食器用洗剤を加えます。キュキュット(マスカット/オレンジ/グレープフルーツの香り)なら400ml、チャーミーマジカ(除菌+または酵素+)なら420mlを加え、泡だて器でやさしくかき混ぜてください(あまり激しく混ぜると泡が大量に発生してしまいます)。
7. 完成です。
すぐに使えますが、数時間ほど寝かせると確実です(私の場合は前の日の夜に作っておいて、次の日使います)。
この配合だと、分裂しやすい(=大量の小玉を出しやすい)液ができますが、直径1m程度の球体も十分に作ることができます。超大型を目指すのであれば、ポリアクリル酸ナトリウムの量を3.5g前後まで減らして様子を見て、微調整してみてください。
【シャボン液の保管について】[]
調合したあとのシャボン液の保管についてですが、保管状態が非常に良い状態(涼しく光のあたらないカビ気のない清潔な室内に完全密閉容器で保管するなど)ならば、シャボン液はかなり長持ちするようです。数年経っても問題なく使えたという報告もあります。
その一方、通常の保管方法(例えばバケツに蓋をして玄関隅に置いておくなど)だと、混合してから2~3日経った頃から性能が落ちていくのが一般的です。ポリマーの効力がMAXの状態から徐々に弱まっていっていると考えられます(だんだんバブルインバブルが難しくなってきたりします)。
ただし、場合によってはただバケツに一週間放置していても、全く問題なく使えるときもあり、一概には言えないようです。保管状態や気温・湿度・清潔度等によりだいぶ変わるみたいです。
保管状態によってだいぶ変わるとは思いますが、もし一番確実な安全策を取ろうとするならば、シャボン液は調合した翌日には全て使い切るつもりで作った方が良いと思います。
【液を調合する際の注意点】[]
慣れないうちは、レシピに忠実に従って調合してください。「うまくいかない」という人に多いのが、「大雑把すぎる」というケースです。例えば以下のような例です。
①計量スプーンがないから普通のティースプーンで計った。
→ 配合量にかなりの誤差が出てしまいます。必ず計量スプーンを用意してください。100均ショップに行けばあります。
②アルコールがないのでグアーガムをそのまま水に混ぜた。
→ グアーガムなどの材料はダマになりやすい性質があり、一晩経っても溶け切らないケースが多々あります。その場合、必要とされる量が液中に配合されていないことになります。アルコールかグリセリンでスラリー化すれば、トラブルを確実に回避できます。
③液を作って、その直後に使った。
→ 材料によっては完全な融解に時間がかかります。特にグアーガムは時間が必要です。グアーガムの効力が弱いと言う人がいますが、そういう人の大半はこの過程を無視しています。上記のレシピの通り、半日~一晩程度寝かせると良くなります。
だんだん慣れてきてコツをつかめば自己流でできるようになりますが、最初のうちは上記を守って、調合方法の基礎を身に着けてください。
ここでは、いずれのレシピもおよそバケツ一杯分の液の作り方を紹介していますが、スケールを下げる計算をする(各材料の量を同じ比率で縮小する)ことで、お好みの量に調整することができます。例えば、水6,500ml+洗剤400ml+ポリマー小さじ4のレシピがある場合に、1リットル強ぐらいの液を作ろうとする場合は、各材料を6.5で割ります。すると水1,000ml+洗剤61ml+ポリマー小さじ0.6程度となり、だいたい目的の量に調整できます。
※今後検証が必要ですが、冬季など気温が下がるときは何らかの原因によってポリマー過多の状態(シャボン玉が極端に短寿命で切り離した直後にすぐ割れる)になりやすいようです。不調の時の対処法は色々と考えられますが、冬の初め頃などで気温が下がってきた場合で他に心当たりがないときは、ポリマーの量を普段よりも減らす調整が第一選択肢になります。ポリマー、もしくは食器用洗剤中の成分が、気温の低下を受けて液の粘性もしくはポリマーの作用を変化させている可能性がありますが、原因は特定されていません。
【それぞれのレシピと材料について】[]
上記のレシピの分量については、いずれも私個人の目から見て有効だと判断したものです。どのような配合が有効と思うかは、人によってかなり差があります。私の倍の量の洗剤を入れる方も多いです。自分が主に使う道具がどういう素材か(アクリル紐、綿の紐、プラスチックチェーン、プラスチックのフープ(輪っか)、電動のバブルマシン、等々)に合わせて、液をカスタマイズすることも有効かもしれません。
上記はあくまでも一例ですから、これをもとに実験してみて、量を加減しながら自分なりのレシピを作ってください。食器用洗剤の種類によってもかなり変わりますから、いろいろ試してみてください。また、決まった分量は使わず、現地で道具を用意し、液の状態を見ながらアドリブでシャボン液を作成する方もいます。その日の気温や湿度、風の強弱によって調整を加える方もいます。勘と経験を頼りに作るのもまた楽しい方法だと思います。
グアーガムもポリアクリル酸ナトリウムもかなり強力な材料ですが、特性は異なります。ポリアクリル酸ナトリウムを加えると液の粘度が上がり、とろみが出てきますが、粘度を上げるのがこの材料の目的というわけではありません。グアーガムの液は、ポリアクリル酸ナトリウムと同等か、時にはそれ以上の、ワールドクラスの巨大シャボン玉を作ることができますが、ポリアクリル酸ナトリウムの液に比べると粘度はだいぶ低いです。私はこんにゃく粉を使ってシャボン液を作ることがありますが、この液はグアーガムよりもさらに粘度が低くサラサラしているにもかかわらず、超巨大なシャボン玉を作成することができます。多くの種類のポリマーで実験を繰り返すと、液の粘り気とその性能の間に相関関係が存在しないことが分かります。よく「粘り気を出すために」という言い方でこれらの材料の機能が説明されることがありますが、粘度=シャボン玉の強さではありません。
これらの材料は「ポリマー」(高分子化合物)と呼ばれます。ポリマーを配合する主な目的は、粘り気を出すことではなく、シャボン玉(シャボン膜)の「自己修復力」を向上させることです。シャボン膜は風圧によって限界まで引き伸ばされたときに、割れるのではなく分裂を始めます(輪っかに張られたシャボン膜に息を吹きかけて、膜面からシャボン玉が次々に分裂し飛んでいく様子を想像してください)。詳しい機序は解明されていませんが、ポリマーを加えた場合、この特性が飛躍的に向上します。「分裂しやすい」ということは、つまりシャボン膜を「閉じやすい(膨らんだ膜が割れる前に球体を切り離して分裂させ、空中に浮遊させることができる)」ということです。膜が限界まで引き伸ばされて、くびれが生じると、そのままではくびれた部分を切っ掛けに裂け目が生じて膜が割れるところですが、ポリマーの効果によってその裂け目は修復され(=閉じられ)ていき、結果として破綻することなくきれいに分裂します。
この性質が、巨大なシャボン膜を球体の形にまとめることを可能にし、またシャボン玉に息を吹きかけるとその内側に別のシャボン玉ができるという現象(バブルインバブルと呼ばれます)を可能にします。ポリマーの機能については以下のページを確認してください。
https://soapbubble.fandom.com/wiki/Polymers
https://soapbubble.fandom.com/wiki/Bubble_Juice_Basics
私の経験から言うと、ポリマーを多く入れ過ぎると、小さいシャボン玉はたくさんできるが、大きいシャボン玉はすぐ割れてしまう(寿命が縮む)ということがよくあります。理由ははっきりしませんが、粘度の高い洗剤(年度調整剤が配合されている食器用洗剤)を使ったときも同様のことが起こりがちです。自分の背丈を超えるような巨大シャボン玉にトライするときは、むしろ液の粘性をなるべく抑制することを心掛けています。
逆に、小さめのシャボン玉を大量発生させたいとき(シャボン膜からたくさんのシャボン玉に分裂させたいとき)は、ポリマーを多めに入れた方が有効ということになりますが、その場合も、入れ過ぎた場合は膜が割れやすくなります。
粘度は、敢えて言うのであれば諸々の結果であって、それ自体が目的ではないことを覚えておいてください。材料を混合しているときに、調合の目安として、粘り気がいつもより強いか弱いかを吟味することはよくあります。しかし粘り気が強ければ強いほど良いわけではありません。うまくいかないときに何とかして粘度を上げようとする人がいますが、粘度を上げること自体が問題の解決につながることは滅多にありません。
(ただし、粘度が液の排出速度(排出効率?)に影響している可能性は否定できません。その場合、液の種類(その液の粘度)と、ワンド紐の素材の間には、なんらかの相性の良し悪しのようなものが存在する可能性はあります。調査が必要です。)
シャボン液についてインターネットで調べると必ず出くわすのが「グリセリン」と「グラニュー糖(または砂糖、ガムシロップ)」ですが、屋外で大きいシャボン玉を作る場合に、上記のレシピぐらいの量のグアーガムやポリアクリル酸ナトリウムを使用するのであれば、あってもなくてもほとんど違いを感じません。反面、小さいシャボン玉の膜を長く保つ際には有効なようです。また、室内でシャボン玉アート(Bubble Sculpture)を作る場合は長寿命化に有効だと言われています。大量のグリセリン(水全体の1/3から半分程度をグリセリンで置き換えるくらい)を使うと、屋外でも小さいシャボン玉の量が増える傾向にあるようですが、様々な理由から私は使用していません。他にグリセリンの利点として、スラリーを作る際にアルコールの代用として使うことができます。
「ラム酒」というのも目にしますが、これはアルコールを液に加えることで、シャボン玉を作ったときに膜からアルコールが揮発し、そうすると膜が薄くなってシャボン玉の色が変わり綺麗に見える、という理由のようです。しかし私の経験では、少なくとも野外でのバブリングにおいては、違いは全く判別できませんでした。室内でのステージパフォーマンスでは、日光の当たる野外ほどシャボン膜の蒸発が速くないので、色をビビッドに見せたいときに有効なのかもしれませんが、実際にそういった現象が起こっているかを室内で試した経験はありません。
「蒸留水」については、作る液の品質に安定性と確実性を求める方(ステージパフォーマーなど)は使うようです。私は水道水で十分満足しているので、使ったことはありません。(一説によると、蒸留水を使うことが推奨されていた時代というのは、まだシャボン液に石鹸が使用されていた頃のことです。石鹸成分はカルシウムイオンやマグネシウムイオンと反応し、シャボン液の中に不純物を生み出しますが、蒸留水を使うことでそれを回避できました。近年、石鹸の代わりに、ミネラル類との反応がほとんど無い食器用洗剤が使われるようになってからは、大多数のバブラーにとっては蒸留水の使用は以前ほどメリットがあるとは思われていないようです。)
「洗濯のり」は有効なポリマーです。これに関しては既にネット上に多くの情報が存在しますので、調べてみてください。非常に安価で入手しやすく、液状なので混合も簡単で、家庭での子どもさんの遊びには最適です。
シャボン玉の配合方法は多数発見されています。詳しくは以下のリンクからチェックしてみてください。
https://soapbubble.fandom.com/wiki/Recipes
他にも、色々なポリマーがシャボン液の材料として有効であることがわかっています。詳しくはこちらを参照してください。
海外の洗剤、とりわけDawnシリーズを使う場合は、ph調整をすることが非常に重要です。しかし、日本の食器用洗剤を使う場合は、ph値の調整は必要ないかもしれません。今後より綿密な調査が必要ですが、2022年12月現在市販されているチャーミーマジカ除菌+のph値を、クエン酸を使って無調整時のph8.3程度から7.5前後に調整すると、逆に性能が低下するようです。チャーミーマジカ酵素+の場合は除菌+ほど低下しませんが、調整前後でほとんど変わらないか、もしくは調整後のほうが若干劣る印象です。キュキュットは無調整でも7.4~7.7前後で安定することがほとんどで、調整の必要が無いか、または効果はあっても微細なものと思われます。
【食器用洗剤について】[]
その日その時の状況に応じてシャボン液の能力を最大限に引き出したいのであれば、食器用洗剤の効能を正しく把握しておく必要があります。シャボン液の体積はほとんどが「水」と「食器用洗剤」によって占められています。この二つをどういう割合で配合するかによって、そのシャボン液の性能が決まります。
①洗剤の割合を増やす/水の割合を減らす
シャボン玉の膜の厚さは薄くなっていきます。それはつまり、より薄く、より広く、大きく伸びるようになるということです(パン生地を麺棒で薄く伸ばしていく様子を想像してください)。結果としてシャボン玉のサイズは大きくなりますが、膜が薄くなる分、風圧や乾燥蒸発により割れやすくなる(寿命が短くなる)結果になります。
②洗剤の割合を減らす/水の割合を増やす
シャボン玉の膜の厚さは分厚くなっていきます。膜が分厚くなる分、風圧や乾燥蒸発に対し強くなり割れにくくなりますが、膜が硬く伸びないため、大きくなりにくくなります。寿命を延ばすことができますが、大きく膨らまそうとするとある程度のところで割れるようになります。
直感的に、「材料を加えればその分パワーアップするはずだ」と思い込みがちですが、バブリングにおいては必ずしもそうではありません。シャボン玉の「サイズの大きさ」と「寿命の長さ」はトレードオフの関係です。どちらかを取ろうとすれば、もう片方が犠牲になります。気温が高く乾燥している日はシャボン玉が極端に割れやすくなるときがありますが、そういうときは水を足すと、サイズが小さくなる代わりに寿命を延ばすことができます。
ガーランドを使う場合は、洗剤の割合を多めにしておくことがより多くのシャボン玉を分裂させることにつながります。ただし洗剤が過多になると、切り離されたシャボン玉が短寿命になり、全体的に琥珀色または無色の球が多くなる傾向にあるようです。
膜の厚さが適正かどうかを把握するには、シャボン玉の色を観察することが必要です。シャボン膜の色は、膜の厚さと正確にリンクしています。詳細は以下を参照してください。
https://soapbubble.fandom.com/wiki/Color_Profile
また、食器用洗剤の選択はとても重要です。多くのバブラーに支持されているのは、キュキュットもしくはチャーミーマジカです。JOYでもできますが、割れた際に被膜の残骸が発生し飛び散ることがあります。海外ではDawnシリーズが最もスタンダードな洗剤です。ダイソーのコンパクト洗剤(2022年現在販売されているもの)は全く使えません。業者向けに販売されているような業務用濃縮洗剤の中には界面活性剤率が50%を超えるものもありますが、私が知る限りそれらでキュキュットやマジカを超えるような良い結果が出たことはありません。商品の裏面に書いてある界面活性剤率は一つの目安になります(低すぎるものは効果を期待できません)が、最近の実験でも判る通り、食器用洗剤の性能は、どちらかというと%の数値よりは成分の種類の違いによって大きく左右されるようです。
【ワンドについて】[]
直径1mを超えるような大きなシャボン玉を作るには、ワンドと呼ばれる道具が必要です。通常は、二本の長い棒に、逆三角形になるように紐を取り付けたものです。
ワンドに関しては、日本のバブラーの方で、詳細な道具の作り方を公開されている方がいらっしゃいますのでぜひチェックしてください。
http://soapbubbler.blog.fc2.com/blog-category-10.html
特にこの方のガーランドワンド(大量のシャボン玉を発生させるワンド)は世界的に見ても素晴らしい発明です。ある程度慣れてきたら、ぜひチャレンジしてみてください(他のブログも必見です)。
【初心者用の大玉用ワンド(三角ワンド/Tristring wand)】[]
初心者の方にお勧めするシンプルなワンドの作り方をご紹介します。
①必要なもの
・園芸用の支柱(2本) …できるだけ細くて軽いもののほうが楽です。あまり長いものは扱いが難しく、運ぶのも大変です。1メートル未満のものから始めることをお勧めします。100均やホームセンターにあります。
・結束バンド …一番細くて短いものを選んでください。
・ナスカン …100均(Seria)や手芸ショップなどで売ってます。
・紐 …なんでも良いですが、最初は100均に売っている幅5mmの紐(アクリル紐または綿100%の紐)で試してみることをお勧めします。硬いロープは向いていません。
②作り方
1. ナスカンのDカン部分に結束バンドを通して、園芸用支柱の先端付近にギュッと縛り付けます。これを2本作ります。
2. 紐を70cmほど切り出し、一方の端に輪っかの形の結び目を作ります。もう片方の端も同様に作ります。
3. 紐の両端のわっかを、2本の支柱のナスカンにそれぞれ取り付けます。
4. 紐を100cmほど切り出します。
5. 写真のように、上の紐に結びつけます。紐の両端を10cm程度空けておいてください。
③使い方
1. 風向きを確認して、風が吹いて来る方向に背中を向けて立ちます(風下を向きます)。
2. 紐を液に浸します。かならず紐全体が液にザブンと沈むように浸してください。
3. 紐を閉じたままゆっくりと持ち上げ、ゆっくりとワンドを開いて紐を左右に広げます。風に乗ってシャボン玉が出てきたら、またゆっくり閉じます。ゆっくり動作することが重要です。ワンドを激しく動かすと膜が割れます。
4. ワンドを開いたり閉じたり繰り返すことで、大きなシャボン玉が複数できます。
風が無い場合は、ワンドを開いたままゆっくりと後退してください。
続けてやっていると、液の表面にビールの泡のような白い塊(「フォーム」と呼ばれます)がたまってきますので、ときどき取り除いてください。フォームが紐に絡みつくとだんだんシャボン玉が出なくなってきます。
Daisoでも同様のものが売っていますので、最初はこれを試すのも良いかもしれません。
【プラスチックチェーンの連玉ワンド(ガーランドワンド/Garland wand)】[]
シャボン玉パフォーマーとしての活動を目指している方にとっては、今や必須と言ってよいほどメジャーなワンドです。プラスチックチェーンを使ったワンドは、2010年頃に日本人の愛好家によって発明され、その有用性が広く認知されました。
基本的な作りはネット上の写真などを見ればおおよそ分かると思いますが、人によって様々な工夫がなされています。プロのパフォーマーさんが使っているものは竿に軽量で扱いやすい素材のものを使うなど、精巧に設計されています。
下記では、私が使っている基本的なワンド(釣竿を使った連玉ワンド)の作り方をご紹介します。
①必要なもの
・プラスチックチェーン(2mm) …太さ2mmのかなり細いチェーンです。なかなか店頭には並んでいません。通販で入手するのが手っ取り早いです。100均にもやや太いプラスチックチェーンが売っていますが、性能は雲泥の差です。2mmのチェーンを強くお勧めします。
https://item.rakuten.co.jp/first23/shimi-nis4968462178209/
・釣竿(2本) …渓流竿、万能竿と呼ばれているものを使うのが一般的です。軽いものが楽ですが、軽量過ぎると折れやすいです。ここでは例として下記の商品を使います。硬調で少し重めですが、頑丈で折れることはまずないと思います。慣れてきたら、もっと長いものや、軟調の竿(しなりが大きいもの)も試してみてください。
https://www.amazon.co.jp/dp/B00I8YNL8I
もちろん他の竿でもできますので、試してみてください。
・電動ドリルと細い金属用ドリルビット …金属用(鉄鋼用)ドリルビットはホームセンターなどで売ってます。釣竿の太さをあらかじめ確認しておき、穴を開けるのにちょうどよい太さの金属用ドリルビットを購入してください。(穴の大きさは写真を参考にしてください。私の場合は3.0mmの鉄ドリルを使っています。)
・二重リング …100均に売ってます。無ければ針金でもOKです。
・ナスカン …100均や手芸ショップなどで売ってます。
②作り方
1. この釣竿は全て振り出すと360cmになりますが、先端部分の3節は細すぎて使えないので、抜き取ります。3節抜くと2mちょっとぐらいになると思います。
2. 釣竿の先端部分より1~2cmほど下の側面に、ドリルで穴を開けます。貫通するようにして二つの穴を開けます(ケガに気を付けてください)。ドリルの刃先を釣竿の側面に押し付けるようにしながら回転させると、割と簡単にできます。
3. 穴に二重リングを通し、ナスカンを付けます(リングを通すのが難しければ、ナスカンのDカン部分に針金を通して、釣竿の穴に取り付けわっか状にねじって固定してもOKです)。1~3と同じ要領で、もう1本作ります。
4. プラスチックチェーンを100~200cmほど切り出し、両端をそれぞれ2本のワンドのナスカンに取り付けます。チェーンの長さは好みの長さで結構ですが、ワンドを広げたときにピンと張れる程度の長さに留めてください。あまり長く切り出すと、ワンドを目いっぱい広げてもチェーンがだらんと垂れ下がってしまい、シャボン玉の出方が悪くなります。
5. プラスチックチェーンを30cmほど切り出し、両端のリングに一か所ずつ切れ目を入れます(この両端のリングは切れ目を入れることで連結リングとして機能します)。この短いチェーンを数本作っておきます。
6. ワンドに付けた長いチェーンに、短いチェーンをU字になるように端の方から順に連結していきます。同じ間隔で付けていくと見た目がきれいになります。多くの方が作っているので参考にしてみてください。
③使い方
使い方はほぼ三角ワンドと同じですが、ガーランドワンドは閉じる操作は必要はありません。風を背に受けながら開きっぱなしでOKです。
シャボン玉が全部出終わったら、チェーンを素早く振ってみてください。そうすると、チェーンの穴の一つ一つから細かい泡が舞い上がり、雪を降らせるかのような演出をすることができます。しなりの大きい軟調の竿を使ってこの操作を行うと、大量の細かい泡を美しい軌道で降らせることができます。
ただしチェーンを振るときは周囲に充分注意してください。不用意に振り回すと、子どもの首にチェーンが巻き付いたり、ワンドが激しく当たったりして思わぬ事故につながる恐れがあります。
炭素繊維などファイバー製の竿を使う場合は、加工の際に注意してください。穴を開けたときにささくれが出ることがありますが、これが鋭利な針のようになり危険です。穴の淵を研磨してささくれが出ないようにするか、または穴を開けずに金具などを使用してチェーンを固定する方法を考えてみてください。ホームセンターなどで手に入る直径の小さいホースバンドには、釣竿にも使用できるぐらい小さいものがあります。
ガーランドワンド自体は、プラスチックチェーンでなくても、綿やアクリルの紐でも同じ構造で作ることができます。繊維素材の場合は吸水量が多いので、持ち上げる際の重量が重くなりますが、シャボン玉の出る量はその分増えるかもしれません。
このwikiには他にもたくさんのワンドに関する情報がありますので、是非読んでみてください。
https://soapbubble.fandom.com/wiki/Wands
※釣竿が電線・線路・鉄橋等に触れたり接近したりしないよう気を付けてください。感電の恐れがあります。また雷雲が近づいてきたらすぐに竿をしまって避難してください。素材によっては避雷針のように落雷を招く恐れがあります。
※付記:日本のバブリングについて…[]
2000年以後の日本における屋外バブリングに関しては、発祥は割と明瞭です。MixiのOFF会に関するトピック(「無心でシャボン玉を吹く会」など)の参加者のなかにTadao Kurisakaさんがいました。2002年頃から関東圏を中心に活動されておられる方で、現在日本各地で見られる屋外シャボン玉パフォーマーの第一人者です。
それ以前にも大きなシャボン玉の作り方(洗濯のりを使う方法)などは知られていましたが、今多くの日本人バブラーに支持されているポリアクリル酸ナトリウムやプラスチックチェーンワンドの活用は、元を辿るとこの方に行き着きます。また、照明器具を使った演出(ナイトバブル)やハット+オーバーオールのスタイルなど、日本のシャボン玉愛好家に多大な影響を与え、日本各地に多くのフォロワーを生みました。
下記のインスタのアカウントでは素晴らしい画像や動画を見ることができます。
https://www.instagram.com/yoyogibubbleman/
【うまくいかないとき】[]
作り方を教えた方から、しばしば「どうやってもうまくいかなかった」「すぐに割れた」「大きくならない」などの声を聴くことがあります。
私の場合、そういう方にはまず「早朝、日の出前後の時間にがんばって早起きして、試してみてください」と助言することにしています。早朝は、バブリング(特に巨大シャボン玉)に最善の条件が揃う時間帯だからです。
バブリングにチャレンジする方には、ある一つの原理原則を覚えておいていただきたいと思います。
洗剤に含まれる界面活性剤の作用というと人工的・人為的なものと思われる向きもありますが、界面活性という現象はれっきとした自然界の物理現象、自然現象です。シャボン玉は「人智の及ばない偉大な自然現象の一端」であって、私たち人間がそれを思い通りに操作できることなど「滅多にない」ということです。時間と手間暇をかけて、レシピに忠実・精密にシャボン液を作ったとしても、必ず同じ結果を得られるとは限りません。
気象条件、とりわけ気温・湿度と風速と直射日光の有無はかなり重要です。たとえ最高の液を調合しても、湿度が30%を下回るような快晴の日中では、50cmを超えるようなシャボン玉を作ることは困難です。湿度が高くても、気温30℃を超えるような真夏の日中は、シャボン玉にとってかなり厳しい環境と言えます。逆に、目分量でさっさと作ったような液でも、早朝6時の雨上がりの曇り空であれば2メートルクラスの巨大シャボン玉がバンバンできることもあります。
素晴らしいシャボン玉を見たいと思ったら、まず良い自然の条件、すなわち良い気象条件に合わせることです。素晴らしい結果を得るには、自然の懐に入らせてもらう気持ちで取り組むことが必要です。
気候だけではありません。空気中の微細な塵、花粉、羽虫、煙が良い結果を拒むことがあります。何らかの原因でシャボン液に紛れ込んだ油分、枯草の破片、虫の死骸。泡だて器やバケツ、ワンドの紐に残っていた汚れ。配合の際のちょっとした量の誤差。材料の劣化。ありとあらゆる外的要因が、バタフライエフェクトのようにシャボン玉の出来に影響する可能性があります。バブリングの場合は、「自分の思う通りにいかない」ことの方が圧倒的に多いです。
不調の原因の全てを厳密につきとめることは不可能に近いですが、問題の切り分けによって最善を模索することは可能です。Wikiには多くのヒントがありますので、調べてみてください。
https://soapbubble.fandom.com/wiki/Troubleshooting
そういうわけで、私が早朝の日の出前後の時間帯をお勧めする理由がお分かりいただけるかと思います。湿度が高く、まだ涼しい時間帯で、強い日光がなく、空気が清潔で澄んでいて、風も穏やか、シャボン膜の動きもゆるやかなので、複雑なワンド操作も必要ありません。準備さえ万全であれば、きっと素晴らしい結果が得られるはずです。
その他…
・難易度からいえば、ガーランドワンド(たくさんのシャボン玉を出す道具)は簡単です。初めてのお子さんでも十分に楽しめます。それに比べると大きなシャボン玉は難しいです。特に高さが1.5メートルを超えるような真丸の球体となると難易度がかなり上がります。夏場の乾燥した晴れの昼間では、どう頑張っても不可能です(50cmぐらいのシャボン玉で上出来だと思っておきましょう)。
・夏場は基本的にシャボン玉に向かない季節だと思っておいてください。高温と強い日差しはシャボン玉の寿命をかなり縮めます。早朝や曇天、雨上がりならある程度期待できます。逆に秋~冬はシャボン玉に向いています。
・内陸部の乾燥しがちな地域に比べると、海沿いの地域は有利です。緩やかな風がある海岸の砂浜は最高のロケーションです。
・風速4m/sを超えるような日はシャボン玉は難しいです。強風の日は他の娯楽を楽しみましょう。
もう一つ頭に留めておかないといけない事は、「人は良いところだけをネット上にアップロードする」ということです。なぜなら、単純に失敗例は誰も見たがらない(需要が無い)からです。
私たちがYoutubeやSNSなどで目にする素晴らしいシャボン玉の映像・画像の数々はどれも成功例です。当然ですが、その裏にはその数十倍、数百倍の失敗例があります。成功例しか目にしたことのない人は、成功することが当たり前だと思い込んでしまい、うまくいかないことに苛立ってしまいがちです。しかし実際は上記の通り、私たちが素晴らしいシャボン玉を目にするのは、良い条件が奇跡的に重なったときだけなのです。
本質的には、シャボン玉は自然界の物理法則と向かい合う遊びです。自然の側が我々人間側の都合に合わせてくれることなど決してありません。気長に取り組んで下さい。出来が悪いときはたいてい気候のせいだということが分かっていれば、シャボン玉との上手な付き合い方も分かってくるはずです。
【注意すべきこと】[]
やっているうちに嫌でも知ることになると思いますが、シャボン玉は決して楽しいことばかりではありません。公園など、バブリングを屋外で行う場合に注意すべきことを別のページにまとめてありますので、目を通してください。時として、バブリングは思わぬトラブルの元になることもあります。
【より深く知りたい方は】[]
以下を参照してください。
Bubblingの基礎知識Ⅱ/プラスチックチェーンワンドについて
Bubblingの底知れない奥深さを是非体験してみてください。
【最後に】[]
ウェイン・シュミットさん(Wayne Schmidt)という南カリフォルニアのバブラーの方の素晴らしい言葉を引用したいと思います。
…(バブリングは、)この世界にはまだ「不思議」が残されているのだと思わせる力を持っています。ぜひトライしてみてください。巨大なシャボン玉を作るのは時に面倒で、イライラしてしまうこともありますが、それは私たちにとって、「魔法のように美しいものを作るのに、最も近いこと」でもあります。
世界中のたくさんの人々が、この「魔法のような不思議さ」に触れられることを願っています。そして、その「魔法のような不思議さ」が、たくさんの子どもたちの科学的探究心を喚起してくれることを願っています。
*上記の内容は、必ずしもSoap Bubble Wikiの見解を代表するものではありません。Soap Bubble Wikiのユーザーである私個人がこれまで得てきた知識や経験に基づいています。
*連絡事項、相談、依頼等はこの記事のメッセージ欄か、もしくはインスタのアカウント、下記メール(アットマークは半角の@に書き換えてください)でご連絡ください。
https://www.instagram.com/uroshi_pond/
isosatakieliあっとまーくyahoo.co.jp
*This page is intended for Japanese beginner bubblers. It includes some content that is not adapted for Dawn or Fairy users.